華北旅行記を更新中だけども、実はここからがメインの目的地。その目的地とはタイトルにもある五台山だ。まずは簡単に五台山についての概要を記し、その後で石家荘からの移動と入山手続き、泊まった宿について書いてみよう。
今回の旅行は完全な個人旅行で行ってきたので、公共の交通機関を利用して行く方の参考になると思う。
五台山とは
五台山は山西省の省都・太原の東北に位置する仏教の聖地だ。文殊菩薩の霊場として名高い。冷涼な気候であるため、清涼山の名もある。観音菩薩の霊場である浙江省・普陀山と、普賢菩薩の霊場である四川省・峨眉山、地蔵菩薩の霊場である安徽省・九華山とともに仏教四大名山と呼ばれている。

梵仙山より眺める五台山風景名勝区
代表的な5つの山が台のように連なっているため、合わせて五台山と呼ぶようになったとのことだ。これら5つの山の頂上は台頂(中国語:台顶 Táidǐng)と呼ばれている。それぞれの名前と標高は次のとおりだ。
この5つの山に囲まれた地域に後漢時代(1世紀ごろ)に寺院が建てられ始めたのが最初で、唐代のピーク時には360件もの寺院が建てられていたとのことである。平安時代の日本の僧・円仁もこの五台山で修行した。文革期には壊滅的な打撃を受け、多くの文化財が破壊されたが、信仰の場として見事に復活した。現在はこの5つの山に囲まれた地域一帯を五台山風景名勝区(中国語:五台山风景名胜区 Wǔtáishān fēngjǐng míngshèngqū)という名で、仏教徒や僧侶の修行場として、あるいは観光地として整備されている。2009年にはユネスコの世界文化遺産に認定された。
名勝区の中心部は山西省忻州市五台県台懐鎮という行政区画にある。これからこのブログ記事で「五台山」という場合は、この「5つの山に囲まれた地域一帯の五台山風景名勝区」のことを指すことにする。なお、今回の旅行では時間の関係上、台頂には登らなかったので、区域内のお寺めぐりをメインの内容にしている。
石家荘→五台山を長距離バスで移動
2016年5月4日、石家荘のホテルを出て五台山へと向かう。当初は石家荘から山西省の太原へ高速鉄道で移動してから、バスで五台山まで行くつもりだった。しかしよくよく調べてみると、石家荘から五台山への直通のバスが出ているらしい。ホームページに予約電話番号が載っていたので、前日のうちに電話しておいた。
↑このホームページには「7:00/9:00/12:00/14:00出発、石家荘北駅より五台山まで3時間半」とあり、1日4便あるようだった。「午前中は旅の疲れをいやし、午後イチの12:00に出発すればちょうどいいかな」と思い、予約先に電話したら「12:00の便はない」という返事だった。よって14:00発のバスに乗ることとした。
午前中はゆっくりと石家市内で過ごし、昼食をとってからホテルをチェックアウトした。中国のホテルはレイト・チェックアウトが当たり前で、13:30とか14:00まで延長料金等不要というところが多かった。この日もゆっくりと12:30ごろチェックアウトした。

石家荘市内より石家荘北駅まで路線バスで1元だった。石家荘北駅と石家荘北バスターミナルが近くにあるようで、歩いてすぐにバスターミナルが見つかった。バスターミナルに着いて予約先の電話番号に電話すると「窓口で切符を買ってくれ」という。切符売場の窓口で五台山行きの切符を買った。掲示板を見ると、石家荘→太原と石家荘→五台山は同じ距離(240km)らしい。なるほど、これなら石家荘から直接行った方が早いだろう。

改札は仕事をしている改札ではなかったので、何もせず通り抜けた。乗るべきバスを探すと、頭を丸めた僧侶が何人か見えてきた。僧侶の待つ位置がまさに五台山行きのバスが停まっているところであった。

バス内に入ると、運転手が「对号入座(座席番号順に座って)」というので、切符の番号どおりの席に座る。番号が34だったので、いちばん後ろの座席である。切符は早い者順に売っているようだったので、もしかしたら予約した意味はなかったのかもしれない(笑)。

両側を僧侶に囲まれて座る。左に台湾から来たという和尚さん、右に尼僧さんが座っていた。

石家荘~五台山間に高速道路が開通して行きやすくなったとの事前情報だが、ずっと下道を走っていた。途中でサービスエリアというか普通のお店で休憩。ここもトイレはただの穴。
さらに進むと、川の中を通り始める。どうやら橋が壊れているらしい。なぜか盛り上がるバス車内(笑)。ちょっとしたジェットコースター気分だ。

悪路を通り抜けると、やっとウワサの高速道路に入った。結局、高速道路を走ったのは30分ほど。高速道路を降りて五台山の入山券売所へと到着した。ここでバスを降ろされ、自分で入山手続きをしてから再度別の場所でバスに乗るように言われる。
五台山への入山手続き
バスを降りて入山券売所へと向かった。この時点で17:40。石家荘を出て既に3時間40分経っている。

巨大な施設であったが、中で入山券を買い、改札のようなところを通過するだけで、身分証チェックや手荷物検査などは特になかった。

一般客用の入山券は145元。僧侶は別窓口で手続きしていた。

入山券はこんな感じ。五台山の旅行エリア(中国語:景区 jǐngqū)に入るにはこの券が必要となる。いったん外へ出る場合は外に出る際に外出手続きをしないと、再度入山券を買わなければならなくなるため、この点は注意が必要だ。

入山券売所を抜けると、さっき降りたバスが移動してきているので、再度それに乗る。さすがにこのシステムは初めてなようで、みな不慣れなようだった。もちろんここで再度バス代を支払う必要はない。バス内では入山券をチェックしに来る人がいた。ここで降りた人もいるようなので、車内は人数が減っていた。
ここで降りた人もいるようなので、車内は人数が減っていた。18:00くらいにバスは五台山の中心部へ向けて出発した。
五台山で泊まった宿
バスは山道をぐんぐん登り、五台山の中心を貫く通りへと到達した。ここからは宿の主人任せだ。あらかじめ宿に電話しておいたところ、バスターミナルで降りるように言われていたため、運転手が「汽车站!(バスターミナル!)」と叫んだ場所で降りた。バスはバスターミナルには停まらず、どんどん先の方に行ってしまうようだった。
バスを降りたのは18:20。石家荘のバスターミナルを出発して4時間20分経っていた。

バスターミナルに着いたら宿の女将へ電話する。2~3分ですぐに車で迎えに来てくれた。

ここ、五台山には参拝者用の数多くの民宿がある。私が泊まったのも1泊78元と格安の民宿だ。
なぜ事前に宿へ電話しておいたかというと、中国での格安宿は外国人お断りの場所も多いからだ。数日前に予約した際、念のため「外国人可以住宿吗?(外国人でも泊まれるか?)」と電話で確認しておいたのだ。おかげで迎えに来てくれることになり、電話しておいて良かった。ただ、私が「外国人だ」という言い方をしていたので、宿の女将は金髪碧眼の外国人が来ると思い込んでいたらしく、私を見るなり「你,看起来跟我们中国人一样(見た目は私たち中国人と同じね)」と言っていた。
この日は宿で夕食をとり、次の日の計画をたてた。下調べはほとんどしてこなかったのだが、宿の方たちが五台山の基本的な紹介から、見どころをいろいろと教えてくれた。明日からはお寺めぐりの始まりだ。
五台山への入山関連用語
それでは山西省五台山への入山に関連する中国語を見ておこう。
以上、山西省五台山に入山するお話でした!