北京観光記事の第3回目は北京の映画館で日本の映画『ビリギャル』を見たお話です。『ビリギャル』の中国での上映期間は2016年4月14日~5月13日。ちょうど滞在期間中に見ることができました。『ビリギャル』の中国語題名は《垫底辣妹》 Diàndǐ làmèiです。

映画を見たのは2016年4月30日、天壇に行った後ですね。まずは簡単に中国での映画館の探し方から紹介し、その後に感想を述べたいと思います(ですます調ここまで)。
中国で映画館を探すには
中国で映画館を探すには百度地图(百度地図・百度マップ)のアプリが便利。まず百度地图を起動して検索欄をタップ。电影院(映画館)と自分で打ち込むか、検索欄の下に出てくる电影院をタップしてみよう。すると付近の映画館が提示される。

映画館の詳細をクリックすると、その映画館で上映している映画、開始時間、座席の状況(チケット販売済みの座席・空いている座席)がわかる。これでどこの映画館に行くか決めればOK。百度のアカウントを持っていれば、その場で座席まで抑えられるという優れものだ。私は百度のアカウントを持っていなかったので、映画館の場所を特定するために使った。

天壇の近くから映画館を検索してみたところ、『ビリギャル』を上演中の最寄り映画館は北京百老汇影城(国瑞城店)ということがわかった。百度地图は地図アプリなので、そのまま自分のいる場所から目的地までの行き方もわかる。距離で2kmほど、路線バスで2駅分だったので路線バスに乗っていくことにした。
百度地图や路線バスへの乗り方については上記記事で紹介しているので、詳細は上記リンクからどうぞ。

地図アプリの案内にしたがって到着した場所はこんな感じのビルみたいな入口。

中はショッピングモールになっていた。この中で目的の映画館に到着した。
映画館へ入場
映画館についたら、まずチケットを購入しよう。カウンターで見たい映画を告げるだけでOKだ。その場でカウンターにある画面を見ながら座席の指定ができる。

私は14:00頃映画館に到着、14:40上演開始のチケットが手に入った。全席数は73席で、残り2席。最前列のいちばん端っこという見づらい席ではあったがギリギリ手に入って良かった。チケット代は40元。最初80元と言われ80元を支払ったのだが、これはポップコーンと飲み物セット代金だったらしい。よく聞かなかったので意図せず80元も支払っちゃったのだがまぁポップコーン食べながらみるのもいいなと思い、そのままにした。
中国の他の地域では既に上演停止されているところもあったようだけども、残り1席とほぼ満席とは北京ではまだまだ人気のようである。ただ、もうポスターなどは残ってなかった。ポスターが貼ってあるところの写真撮りたかったのにこの点だけは残念。
映画『ビリギャル』の鑑賞と感想
中国で上映された映画『ビリギャル』は音声日本語・字幕中国語という組み合わせ。それでは北京で見てみた感想を館内の中国人の反応と私自身の感想とに分けて書いてみよう。
私の席の隣に10代くらいの若い女のこたちが座ってて、上映中に思ったことをベラベラしゃべってた。普通なら「うるさいなぁ」と思うかもしれないけども、今回ばかりは日中の受験事情の違いなどがわかって実に面白かった。
1. 中国人の反応
映画館内で聞こえてきた発言から、日中の受験事情の違いについて示唆に富んだ発言をいくつかご紹介しよう。
- 偏差値って何?
- 模試であんなに詳しく志望校別の合格可能性がわかるの?
- 大学別に入試があるの?
日本では偏差値を大学入試の難易度や学校の成績の目安に使うのは当たり前だが、中国では使わないらしい。でも映画の中ではヒストグラムを指し示して説明する場面が出てきたので、そこから「なんらかの科学的な評価システムなんだね」ってことを悟っていた様子だった。
中国では模試(中国語:模拟考试 mónǐ kǎoshì)はもちろんあるが、日本の大学入試の模試のように、志望校別の判定が出るのは珍しいらしい。
あと、中国の大学入試は高考 gāokǎoという全国一斉試験を受けることが一般的だ。省別に問題は異なるようだが、実施時期は同じで基本的に一発勝負である。日本の私立大学受験のように、何日かに分けて複数の大学を受験する様子が新鮮に映ったようだ。
中国人の客層はほとんど10代前後だったように見える。笑いのツボは日本人とそうは変わらなかった印象。主人公が「わたし慶応受けるから」と言った後のお母さんの「どの慶応?」で笑いが起きてたし、先生とのやりとりの中で「諭吉は何を作ったのか」とか「安倍さんは大統領じゃないよ」ってところでも爆笑されていた。父親が登場すると「チィーーーッ」みたいな音を立てて嫌悪感を示す場面もあったけども、総じて館内は和やかな雰囲気だった。
エンディングでも歌が流れてスタッフロールが終わるまでほとんどの人が立ち上がらずに最後まで見ていた。
2. 私自身の感想
次に私自身の感想をば。私も歳も歳なので(笑)、主人公に感情移入するというよりは、指導する坪井先生のほうに感銘を受けた。会社組織も同じだと思うんだけど、「人にやる気を出させる」って本当に難しいことなんだよね。「教えることは自分のやり方を押しつけること」だと勘違いしてひたすら「こうやれああやれ」という人もいるけど、それじゃ人は伸びない。能動的に取り組めるように方向づけをするのはまぎれもなく指導者の役割。現実世界ではこれをわかってない人が多すぎる。
作中では坪井先生がいかに生徒にやる気を出させたかが描かれていて、非常に興味深く見ることができた。
あとは事前に気になってた固有名詞の訳し方。たとえば冒頭で主人公が聖徳太子を「せいとくたこ」と読んでしまう場面。これは字幕で表現しきれるのかなと気になってた。実際の上演では字幕でも漢字で表現せざるを得ず、そのまま圣德太子だった。他の固有名詞も基本的には直訳で、福沢諭吉も慶應義塾大学もそのまま福泽谕吉・庆应大学のように訳されていた。
訳し方で1つ面白かったのは、「鞭」とか「SM」などの単語が出てきたところ。「鞭」は意味不明な音訳で木智 Mùzhìかなにかそんな語で訳されてた(うろ覚え)。「SM」は特殊行业 Tèshū hángyè(特殊業界)と訳されていた(笑)。ここら辺はやっぱ中国は厳しいのかなといった印象だ。
映画館関連用語
それでは映画館に関連する中国語を見ておこう。
以上、北京で映画『ビリギャル』を見てきたお話でした!