前回(中国でのバスの乗り方~総合編~)に引き続き今回も中国でのバスの乗り方の話題です。今回は路線バスの乗り方について解説してみましょう。
- 中国でのバスの乗り方~総合編~
- 中国でのバスの乗り方~路線バス編~:この記事です
- 中国でのバスの乗り方~長距離バス編~
中国の路線バスはなんといってもその運賃の安さです。地域によって違いますが、だいたい1元とか2元でかなりの距離を移動できます。中国のタクシーも日本と比べて相当安く、日本のタクシーと比べて10分の1くらいの料金で乗れますが、路線バスはさらにその10分の1ほどの料金で移動できます。中国の路線バスの運賃の安さは突出してますね。
しかも中国の路線バスってどこの地域に行ってもだいたい同じ運行の仕方をしているんですよね。なのでここに書いたことを頭に入れておけばだいたいのケースには対応できますよ。
なお、路線バスの運行範囲は市内です。まれに隣街(隣の県など小さな行政区域)まで伸びている路線もありますが、だいたいの路線は同じ市内の中で完結しています。市を超えるようになると長距離バスということになりますね。
路線バスへの乗り方
路線バスへの乗り方はだいたい次のような順序になります。
- バス停を探す
- バス停で自分の乗るバスの路線の番号を確認する
- 乗りたい番号のバスが来たらバスが停車したときに前のドアから乗り込む
- 運転手横の運賃投入箱に料金分の小銭を入れる(おつりは出ない)
- 停車駅まで乗る
1つ1つ詳細を見てみましょう。
1. バス停を探す
路線バスにはバス停がちゃんとあります。「何を言ってんだ?」と思われるかもしれませんが、長距離バスにはバス停がないんですよね。長距離バスの場合、バスターミナルはありますけども途中のバス停では何もないところで乗ったり降りたりするんですよ。それに比べ、路線バスにはちゃんとバス停がありますよってことです(笑)。

バス停はだいたいこんな形をしてます。乗客が多めのバス停には屋根がついていることが多いです。屋根の形にはいろんな種類があります。乗客が少なめのバス停は路線情報が載ってる看板だけってとこもあります。バス停にはたいてい人がたくさんいますので、それも目安になりますね。
中国の道路は車が右側通行なので日本と逆です。自分が乗りたい方向のバスに乗れるように、自分のいるバス停が逆方向だった場合は道路の反対側に渡る必要があります。ちなみに上の画像で車が歩道につっこんでますけども、中国の大都市は歩道を駐車場にすることが多いので、こんな光景は日常的です。歩道を歩いていてもたまにひかれそうになるのでこの点は注意が必要ですね。
2. バス停で自分の乗るバスの路線の番号を確認する
バス停に着いたら自分の乗りたいバスの路線の番号を確認しましょう。バス停にはこんな感じの看板があります。撮影場所は山西省大同市です。

デザインは地域によって違いますが、載っている情報はほぼ同じです。次の5点はどこのバス停でも必ずわかるようになっています。
- 当該バス停の名称:いちばん大きな字のところ。画像では云南建国宾馆というのがバス停の名前です。
- 停車駅一覧:縦の字でずらっと書かれているのが停車駅の一覧です。これを見て行きたいバス停を探しましょう。
- 矢印:見づらいけども画像では停車駅一覧の下にある黄色い線が矢印です。これ重要です。これがバスの進行方向。逆だったら道路の反対側のバス停へ行きましょう。
- 始発:その日最初のバスが来る時間。首班车の横の時刻です。
- 終発:その日最後のバスが来る時間。末班车の横の時刻です。
別の地域の写真も見てみましょう。次の画像の撮影場所は河北省石家荘市です。

こちらの写真は矢印がはっきりしてますね。赤文字が現在いるバス停の名称です。さっきの大同市の看板には運賃が書いてありました(票价一元:1元)けどもこちらの石家荘市の看板には書いてありませんね。
どちらの写真も同様ですが、路線バスの時刻表はありません。「何分おきに来る」という情報が書いてある地域もありますが、日本のように正確な時刻は書いてありません。
ここらへんの時間間隔はけっこういい加減で、2分おきに同じ路線のバスが立て続けに来ることもあれば、20分待って1台も来ないこともあります。まぁそこそこの都市ならば平均的に5~10分待ってればたいていは乗れます。
まず自分の行きたい場所を調べておき、次にその場所の最寄りのバス停の名称を把握しておく。そしてその名称のあるバス停の路線を看板で探しましょう。自分の乗るべきバスの路線番号が特定できたら、バス停でとりあえず待ちましょう。
3. 乗りたい番号のバスが来たらバスが停車したときに前のドアから乗り込む
乗りたい番号のバスが来たらバスが停車するのを待ちましょう。たまにいい加減な運転手だと、バス停にいる人が乗りそうにない場合は勝手に通り過ぎてしまうことがあります。その場合はバス停から手を上げるなど乗りたいアピールをしましょう。まぁ普通は何もしなくても停車してくれます。

上の写真のように、路線番号はバスのフロントガラスの上に表示されています。写真に写っているのは164路のバスってことです。

路線バスの内部は上の写真のようになっています。略式化すると次のとおりです。

一部のバス(深センの車内精算型バスなど)を除き、普通は前のドアから乗ります。
4. 運転手横の運賃投入箱に料金分の小銭を入れる(おつりは出ない)
バスの前のドアから乗り込んだら、運賃を払いましょう。支払い方法は現金を運賃投入箱に入れる方法が1つ、もう1つはICカードをあらかじめ購入しておいてタッチする方法です。

現金を運賃投入箱に入れる方法は、まず運賃がいくらかかるか知らないと払えないですよね。先ほどの大同市のようにバス停の看板に「1元」と書かれていれば1元を運賃投入箱に入れるだけでOKです。わからなかったらバスのドアか運賃投入箱の近くの表示を見てみましょう。そこら辺に運賃が書いてあることが多いです。どこにも書いてなかったら運転手に聞くしかありません。簡単に多少?(ドゥオラオ?)と聞けば教えてくれます。1~5の数字は聞き取れるようにしておいた方がいいですね。
現金で支払う場合、おつりは出ないことに注意しましょう。旅行で中国へ行く場合は、まず飲み物等を大きなお札で買うなどして、1元硬貨あるいは1元札紙幣を多めにストックしておきましょう。以前は運賃1元の路線バスに乗った細かいお金がない人が、5元札を運賃投入箱に入れて後からくる乗客からおつり分の4元を回収しているのを見かけることがありました。しかし、この方法は運転手や他の乗客ともめる場合もありますので、あまりおすすめできません。
ICカードで支払う方法は、事前にどこかでICカードを買っておけばタッチするだけで支払いが済むので便利です。ただ、ICカード売り場を探したり購入や帰国時の返金手続きなどありますので、自分の使用頻度と相談してICカード購入するか否か決めましょう。北京など大都市ではバスのICカードが地下鉄と共通なので、地下鉄のICカードを買っておけば路線バスでも支払いができるようになります。北京の地下鉄についてはこちらの記事(→北京首都国際空港から北京市内へ~地下鉄への乗り方~)をご参考ください。
5. 停車駅まで乗る
運賃を払ったら車内の中の方に進んで停車駅まで乗っていきます。席が空いていれば座ってもいいでしょう。ただ、前の方の席はお年寄りや妊婦、子連れに席を譲る必要があります。中国の人々はこの席を譲ることに関しては本当に躊躇なく素早くやっています。お年寄り・妊婦・子連れ(4~5歳くらいまでか?)が乗ってきたら快く席を譲ってあげましょう。
運転手によりますが、日本のバスよりは運転が荒いことは確実ですので、立って乗る際は必ず何かにつかまっておきましょう。
路線バスからの降り方
次に、実はけっこう難しい路線バスからの降り方です。
中国の路線バスはわりと車内アナウンスがしっかりしているので、降車場所は車内アナウンスを頼りにするとよいです。大都市ならば車内アナウンスは普通話と英語で流れます。ヒアリングに自信がない場合は、バス停で乗る前にいくつめの駅で降りるか数えておくとよいでしょう。
日本なら各座席に降車ボタンがあって、車内アナウンスがかかったらボタンを押せば運転手に次で降りたいことを伝えることができます。中国の路線バスでは、降りたいことを降車アピールエリアに立つことによって知らせます。ここ、重要です。次の写真の赤丸で囲ったエリア、つまり降車口の扉の前が降車アピールエリアです。(ちなみにこの降車アピールエリアという名前は私が勝手に名付けました)

この降車アピールエリアに立つことで、運転手に「次のバス停で降りるぞ」ということをアピールすることになります。運転手はというと、ミラーあるいは監視カメラで降車アピールエリアに人がいるかどうか確認して「次のバス停で降りる人がいるな」と判断します。
車内が込んでいればいちいち自分が降車口のドアの前まで行って立つ必要はありませんが、車内がガラガラだと、1つ前のバス停から降車アピールエリアに立っておいた方がいいでしょう。降車アピールエリアに誰も立ってないと、バス停に着いても乗る人がいなかったら停車せずにどんどん素通りしていってしまうので注意が必要です。
ごくまれに運転手がボケッとしてるのか降車する人を確認してないせいか、降車アピールエリアに立ってても降車口のドアが開かない場合があります。そんなときは「シャア!→下!(=降りるんだ!)」もしくは「ヨウシャア!→有下!(=降りる人がいるんだ!)」と叫んで運転手に猛烈アピールしましょう。
バス路線の調べ方
乗り方の前にバス路線も調べなくちゃいけませんね。バス路線の調べ方については、次の2通りがあります。
それではバス路線を調べる2つの方法について1つ1つ簡単に見ておきましょう。
1. 街中で交通地図を買う
これはけっこうなアナログな方法なのですが、街中で必ずその地域の地図を購入することができます。报刊亭と呼ばれる新聞・雑誌・雑貨売り場が歩道や広場などに設置されていますので、そこで有地图吗?と聞けばだいたいあります。価格も10元しません。その地図を見れば全バスの路線を確認することができます。
ただ、地図は細かすぎてバス路線といっても路線番号と駅名がズラズラ並んでいるだけなので、調べるにはかなり効率が悪いでしょう。ネットの地図ややスマホアプリが登場する以前はこのように調べるしか方法はなかったのですが、今はPCやスマホアプリで調べる方が容易です。
2. PCもしくはスマホアプリで調べる
今ならこちらの方法がおすすめです。中国大陸では Google Map が使えませんが、百度地图という強力なツールがあります。現在地と目的地を入れるだけで、どこで何番のバスに乗るかを示してくれます。

ウェブ(→百度地图)であらかじめ調べておくのもよし、スマホでリアルタイムに調べるのもよし。中国大陸のバス路線は百度地图で調べるのをおすすめします。なお、アプリのインストール方法などはC-STUDYさんの記事がよくまとまっていますので、こちらもどうぞご確認ください。
↑こちらの記事では百度地图のスマホアプリの使い方が詳しく載っていますので、アプリを初めて使う方の参考になると思います。
運賃支払方法の例外
ここまでの知識で中国の路線バスの8割は乗りこなすことができるようになるでしょう。運賃支払方法に関してはいくつか例外があるので、少しだけ紹介しておきます。いずれも長い区間で、区間ごとの運賃が設定されているケースです。
- 中に切符売りの車掌がいる→運賃投入箱にお金を入れる必要はないので、乗ってから車掌に行き先を告げて運賃を支払う。この場合、前のドアからも後ろのドアからも乗っていい(深セン)
- 車掌不在だが大まかに1元区間と2元区間に分かれている→最初に乗る際に2元を運賃投入箱に入れて領収書をもらっておくか、1元区間の終点でプラス1元を払う(石家荘)
- 乗車時にICカードをタッチするし、降車時にもICカードをタッチする(北京)
例外を挙げるとキリがないのですが、長い区間のバスですと、距離によって運賃が違うことがあるんですね。そういう段階式運賃の支払い方法は地域によってまちまちです。全てを網羅することは不可能なので、まぁそんなこともあるんだな程度に覚えておくとよいでしょう。ほとんどの路線バスは1元とか2元でどこまでも行ける定額の路線です。
路線バス関連用語
それでは最後に路線バスに関連する中国語を見ておきましょう。
以上、中国でのバスの乗り方~路線バス編~でした!次回は長距離バスの乗り方について解説していきます。