中国語文法において最も重要な項目の「補語」を見ていきましょう。補語を理解することにより、中国語の表現バリエーションはぐっと広がります。結果補語、可能補語、方向補語は中国語表現の要です。
補語の基礎知識
中国語の補語とは、動詞や形容詞の動作・状態について補足説明をするものです(「補足する語」という意味で補語と呼ばれます)。大まかに分けて、結果補語、可能補語、方向補語、状態補語、その他の五つがあります。この補語を理解することにより、中国語の表現力がバリエーション豊かになります。
補語の学習の順番ですが、状態補語から入ったり、結果補語から始まったりと教科書・参考書によってまちまちのようです。初めて補語を学習するには、教科書・参考書の順番に沿って学習してよいです。ですが、復習する際には、結果補語→可能補語→方向補語→状態補語→その他の順番で進めるとよいでしょう。
中国語文法における補語の重要性
動詞・形容詞の後ろにさらに動詞・形容詞が補語となって前の動詞・形容詞の補足説明を加えます。動詞・形容詞単独では表すことのできないちょっと難しい現象でも、後ろに補語を加えることによって、表現の幅が広がります。
例えば、「看了」だけだと「見た」という意味ですが、動詞の後ろに結果補語の「懂」を加えて「看懂了」とすると、「見て分かった」という意味になります。「懂」は「分かる、理解する、わきまえる」という意味の動詞です。この場合、「動詞+結果補語」という構造は、結局のところ「動詞+動詞」と同じです。後ろのほうの動詞を結果補語といっているに過ぎません。
「中国語は動詞が活用しないから楽ですね」というのは、まだ学び始めて間もないころの感想かと思います。確かに、フランス語などと比べると学習初期のハードルは低めです。しかし、学習を進めていくうちにそうではないことが分かるはずです。
このサイトでは特に補語の重要性を強調します。中国語は「動詞が活用しない」分、別の仕方で表現に幅を持たせます。「動詞+補語」あるいは「形容詞+補語」でバリエーション豊かな表現方法が可能になります。初級から中級へのステップアップの鍵は、この補語の理解にあります。以下、簡単な補語の紹介、次のページからは詳細を掘り下げて解説していきます。
結果補語
結果補語とは、動詞の後ろに置いて、その動詞の行為の結果の状態を表します。行為の結果、変化を伴うため、たいていの場合了を使います。否定形は前に没をおきます。
例:看完了(見終わった) 写好了(書けた) 没做完(やり終えていない)
可能補語
可能補語とは、動詞の後ろに置いて、その動詞の行為が可能かどうかを表します。日本語で「~できない」だから動詞の前に「不能」を置けばいいと思うかもしれませんが、不可能なことを表す場合、多くはこの可能補語の否定形を使います。「~できる」という時は「動詞+得+可能補語」、「~できない」という時は「動詞+不+可能補語」という語順になります。
例:做得完(やり終えることができる) 做不完(やり終えることができない)
方向補語
方向補語とは、動詞の後ろに置いて、その動詞の行為の方向を表します。具体的な方向ではなく、その動詞の行為の状態の方向を表す場合もあります。
例:上来(上ってくる) 活下去(生きていく)
状態補語
状態補語とは、動詞や形容詞の後ろに置いて、その動作の状態を表します。動詞の場合、必ず後ろに得を伴い、その後に状態補語を置きます。
例:説得很好(話すのがうまい)
その他補語
代表的な結果補語・可能補語・方向補語・状態補語以外に、他にも程度補語・数量補語などがあります。
程度補語は、前の単語の程度を補足説明します。後ろに得を伴うものと得のないものの2種類があります。
例:忙得不得了(忙しくてたまらない) 累死了(死ぬほど疲れた)
数量補語は、前の動作の回数や時間を補足説明します。
例:来过两次(2回来たことがある) 等了半个小时(30分待った)
以下の順番で各補語の詳細を見ていきましょう。